「たらしこみ技法」実習
朝からセンターで、尾形光琳作「紅梅白梅図屏風」で樹の幹の表現に使われている、「たらしこみ技法」の実習を受けました。なんかナンパみたいな名前ですが。
講師は、NPO法人「墨アートプロジェクト」の松崎としよ先生が務めてくれました。
「たらしこみ技法」というのは、墨のにじみを意図的に利用する技法です。そして、にじみ効果というには描き手がコントロールできませんから、偶然に生まれる予想外の効果に面白みがあるんだそうです。
先生が、魚を例に基本を見せてくれました。
①薄く鉛筆で下書きする
②水のみで描く所を濡らす
③薄墨で陰影をつける
④濃墨で更に強調したい箇所に陰影をつける
⑤色を付けたい場合は、日本画で使う顔料という絵の具で、同じように薄色→濃色と彩色する
という手順です。
ひと通り基本を教わった後で、各々が自由な題材を考えて30分である程度仕上げてください、ということでした。ぶっつけ本番で何も考えてなかったので、時間もないので、以前水彩で描いた山の渓流の風景を思い出して描きました。
「たらしこみ技法」というよりは、全く水彩画の描き方になってしまいました。
水彩画でも雲を描く時はにじみの技法を使いますし、先に白黒のみで陰影を描くグリザイユ技法というのを使うこともありますので、「たらしこみ技法」と共通点は多いな、と感じました。
ただ、違いもあって
①日本画が元になっているためか、森林や川といった輪郭のはっきりしない風景画には向いてない。
②筆の一手一手でにじみが広がるのを待つ、次にそれが乾くのを待つ、という工程を伴うため、簡単な物を描くのにも時間がかかります。待ってる時間が八割方という技法。
と感じました。
けれど、水彩画でも建物や手前にある樹木、岩といった輪郭の明確な部分に「たらしこみ技法」を用いることで、他の水彩画にはない面白さを付け加えることができると思いました。